2016/06/13 更新その他
行動調査
名古屋地裁 平成27年11月27日判決
自保ジャーナル1965号
この裁判例は、原告が、交通事故によって脊髄を損傷し、下肢機能全廃、左肩関節や左肘関節についても可動域制限が残ったと主張した事案です。
この事案では、徒手筋力検査や知覚検査などの被害者の応答による検査結果に顕著な異常があり、反射検査や画像所見、筋電図検査などの検査結果には脊髄損傷を裏付けるものがありませんでした。
これだけでも脊髄損傷の主張が認められるのは厳しいことが見込まれますが、さらに、保険会社は、被害者の行動調査を行い、それを裁判所に証拠として提出しました。
この行動調査によると、原告は、
- ①左手にスーパーのレジ袋を持って駐車場から自宅マンションまで杖なしで歩いて移動した。
- ②左手で携帯電話を捜査して左手で左耳に近づけて話しながら歩いた。
などといった行動を、治療中から症状固定後の2年間にわたってしてきたことが観察されています。
さすがにこれでは下肢機能全廃の主張など認められるはずはありませんし、そもそも原告の主張自体信用されなくなってしまってもやむをえません。
これは極端な例といえますが、誇張することなくありのままの症状を主治医に告げるべきであるという、いわば当然のことを思い知らせるものとして、ご紹介いたしました。
※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。